少年少女よ舵をとれ。
長いこと雨模様だった。
もう何ヶ月も雨は止みそうになかった。
時折傘をさすのをやめた日もあった。
やまない雨はないし、越えられない夜もない。
太陽は昇るしいつかは沈む。
誰にも自分の世界があって、昨今は特に多種多様だ。
言わずもがな私はあまり世界と密になることが得意ではない。
しかし密になるフリをするのは得意だ。
それはとてもよく出来ていて、時として諸刃の剣だ。
ある日は自分の身を助け、そしてある日は自分の首を絞めることになる。
心の内を明かすのが苦手になったのはいつからだろうか。
それはある意味、大人になった証なのかもしれない。
大人になるということは 誰しも孤独だということを知るということ。
大人とはどんな生き物なのだろうか。
泣き言を言わない人?
落ち込む姿を見せない人?
苦手なものを好きと言う勇気を持てる人?
みんながみんな そのようになれるわけではない、と言うことが少しづつ理解できるようになってきた。
理解できるようになってきた、と言うより 心が頭に追いついてきた と言う方が正しい。
人生は生きている間にゴールテープをくぐることはなくて、死んだ時に初めてゴールへと到達する。
「自分の世界艦隊」の操縦席に座っているのは間違いなく自分で、それを忘れてはいけない。
時に人のために操縦席を譲りそうになることもあった。
人々はそれを「君は優しいから。」と言う。
私はそんな「優しい自分」が世界で1番嫌いだ。
貪欲であってくれ。
強気でいてくれ。
鋼のように強い心でいてくれ。
その優しさはどうか自分にこそ向けてくれ。
操縦席から見る窓の向こうは 雨が止みそうな兆しアリ。
友の手を取り明日へ向かえ。
雨の中動けなくなった私に傘を傾けてくれた友の言葉に感謝をし 今日は眠りにつく。